PRの力で社会問題を解決するってどういうこと?

PRの力で社会問題を解決するってどういうこと?

―広報PRというと、「企業や商品・サービスの認知を高める活動」をイメージする方が多いと思います。でも実は、PRには「社会問題を解決する力」もあるのです。
コミュニケーションデザインは、社会問題の解決につながる広報PRを得意としているPR会社でもあるため、今回は、PRコンサルタントに集まっていただき、事例をお話いただこうと思います。
その前に、まずは玉木さん(←当社代表)から、PRが社会問題を解決するとはどういうことなのか、教えていただけますでしょうか。

玉木:PRと社会問題は親和性があります。というのも、メディアは社会性がある話題を積極的に取り上げるからです。では、どのように社会問題を解決していくかですが、まず社会問題を広め、世の中に問題を認識してもらう必要があります。この「広める」ということを得意にしているのもPRです。そして、社会問題が広まることで、みんなが解決策を考えるようになりますよね。
私たちの場合、クライアントがすでにその社会問題に対するソリューションを持っていることも多いため、それらが解決する社会問題と合わせてPRを行っています。

例えば、少し前になりますが、「三年三割問題」という、入社三年目の社員が三割辞めてしまうという問題が世の中で課題になっていました。当社は、社員が辞めないような取り組みをしている会社の広報PRを支援していたので、社会問題と解決策をセットでPRしました。メディアも非常に関心を持ってくれ、影響力のある経済番組やビジネス誌などで数多く取り上げられました。

こういったPR手法をイシューブランディングと呼び、弊社ではこれまでも多くの社会問題解決に向けアプローチしてきました。

―ありがとうございます。事例があるとわかりやすいですね。Hさんも多くのクライアントを担当されてきましたが、社会問題の解決につながったPR事例を教えていただけますか。

Hさん:最新のテクノロジーを駆使し、災害から人々の命を守るサービスを提供するITベンチャー企業のPR事例についてお話させていただきますね。

近年、立て続けに深刻な自然災害が全国で発生しています。今まで、こういった自然災害のニュースは、報道を通して知ることが多かったと思いますが、このIT企業はSNSの情報を集約し、AIと人が情報を分析し、疑わしい情報を取り除き、災害に関する正確な情報をいち早く官庁や自治体、企業に届けるというサービスを提供されていました。このサービスの利用が進めば、自然災害が発生している地域の住民にいち早く避難指示が出せ、多くの人の命を救うことに繋がります。しかし、これほど世の中に貢献できるサービスであっても知られていなければ、導入は進みません。

そこで、我々はこのサービスを官庁や自治体、企業に知ってもらうためのPRを展開しました。先ほどの玉木の事例とは少し異なる形ですが、サービスの認知を拡大することで、一般の方の命を守る、こういった社会貢献につながるPRを展開しました。

―Tさんは、パーソナルブランディングチーム(以下PBチーム)に所属されていますが、パーソナルブランディングの観点でお話を伺えますか。

Tさん:個人は社会の一部ですし、今の時代、個人として自立していくことが以前にも増して重要視されているのではないかかと思います。当社のクライアントは、経営者をはじめ、社会保険労務士、弁護士、医師などの士業、経営コンサルタントなど多岐にわたりますが、そういった個人の専門家の支援を通して、その先にある社会がより良いものとなるようなPRができればと取り組んでいます。

例えば、近年、働き方が見直されるようになりましたが、その背景には過労やストレスで心身の健康を維持できない方が増えているという社会問題がありました。

我々は、企業勤務医である産業医のパーソナルブランディングをお手伝いしているのですが、産業医は社員がより働きやすい会社にすること、また社員の健康や精神面のサポートを行い、社員が心身ともに健康になることをミッションにしている職業です。

産業医を採用する企業が増えることで、ビジネスパーソンの心身の健康という社会問題解決の後押しができます。そういった解決策の一つとして、産業医の重要性をPRし、多くの企業が産業医の採用を検討するきっかけを創出するといった形で、社会問題解決の後押しになればと思っています。

―Oさんはコミュニケーションデザイン歴も長く、色々な事例をお持ちだと思いますが、何かわかりやすい事例があれば教えてください。

Oさん:まず一つは、化粧品メーカーを担当していた際、商品ではなく働き方に注目し、社会問題解決につながるPRを展開した事例をお話いたします。

当時、女性の活躍推進が非常に叫ばれていたのですが、その企業は社員の大半が女性で、子育てをしながらでも活躍できるよう、定時に帰れる働き方を実現していました。
そこで、なぜその企業では社員が定時で退社しても売り上げが毎年右肩上がりなのか、その理由を我々の方でひも解いていき、他社も参考にできるような情報を発信していきました。

結果、新聞やビジネス誌、テレビ各局の情報番組や報道番組、経済番組で報じられ、当時社会問題として注目されていた女性の活躍推進や脱・長時間労働を解決するヒントを世の中に提示できたと思います。

もう一つは、女性の働き方に関する社会問題を解決するユニークな制度をもつ証券会社の事例についてお話させていただきます。 
その企業は、地銀と業務提携して、待遇を変えずに転籍できるという制度を構築されていました。その時だけではなく、今もですが、既婚女性は旦那さんの転勤があると、キャリアを諦めついていくという選択をせざる負えない方も少なくないと思います。

しかし、その選択は、会社としても戦力を流出することになります。そこで、この証券会社は地銀と連携し、女性がキャリアを諦めることなく、また証券会社にとっても地銀にとっても即戦力となる女性社員に継続して働いてもらえる制度を構築されていました。
この取り組みは、社会問題でもある女性のキャリアに関する一つの解決策となりうるため、我々がPRを行い、まずは新聞や地方TVでの露出を獲得していきました。その後、キー局の報道番組やNHKの経済番組でも取り上げてもらえるなど、非常に大きな反響を得ることができました。

こういった影響力の大きなメディアに取り上げられることで、同じような制度を検討してくれる会社が増えるといいなと思っています。

―最後はYさんお願いします!

Yさん:私からは、社会問題を“広める”ことができた医療系IT企業の事例についてお話させていただきます。

新型コロナウイルスが蔓延し、感染しないことに世の中の注目が集まっていましたが、我々は健康アプリを開発・提供している企業が登録者のデータを分析して得た健康行動の変化やアンケート調査結果をもとに、新型コロナウイルスにより水面下で増えつつある別の問題に警鐘を鳴らすPRを展開しました。

例えば、今では「コロナ太り」というワードはよく聞くようになったと思いますが、我々は2020年2月頃というかなり早いタイミングで、このワードに注目したPRを展開しました。
健康アプリを通してわかったのは、外出を控え、在宅勤務をする方も増えたことによる「歩数減少」という実態です。そこで、コロナ太りというワードと共に、歩数減少に関するリリースを発信しました。影響力のある経済紙に取り上げられたほか、雑誌やテレビ等でも取り上げられ、情報が拡散されていきました。

また、アンケート調査も実施し、子供の面倒をみる時間が増え、うつ状態になる女性が増えているという状況もわかりました。
うつは自分自身では気づきづらい問題でもあります。「コロナ太り」同様、感染をしないための行動が別の問題を引き起こしている可能性を広く発信し、新型コロナウイルスが引き起こす健康二次被害を防ぐPRを展開しました。

玉木:今、みなさんからお話いただいたように、当社は報道分析等を通し、まだ一般的には知られていない社会問題を顕在化するとともに、クライアントのサービスや商品を通して、解決の糸口を世の中に提示していくというPRを数多く展開しています。

我々の仕事はPRですが、このPRの力を使い、クライアントと共に世の中の問題を解決すべく活動しています。
より良い世の中を目指し、潜在する様々な問題を解決に導きたいという方には、非常にやりがいのある仕事だと思います。

―お話ありがとうございました!

PAGE TOP